いい歳して手足口病になった話

手足口病


と聞けば、「あぁ、ちっちゃい子供がたまにかかる病気だよね。」と思う人が多いだろう。紛れもなく私もその1人であった。


去年の夏、なんだか頭が痛くて寒い気がする…風邪かな。夏期講習で働きすぎたかな。と、思いつつタオルケットを被って眠ろうとした。


だが、寒い。クーラーなんてもっての他。寒すぎる。ホコリを薄くかぶった冬用のモコモコパジャマを朦朧とした意識の中引っ張り出して、着た。寒い。それでも寒い。


やむなく暖房をつけて、布団をかぶって眠ろうとする。しかし、震えが止まらず眠れない。人生で何度か、これ死ぬんちゃうと思う瞬間があると思うが、明けない夜はないと言う言葉がこれほど不安な夜はなかった。明日の朝、生きてるのかな。


朝、なんとか生きていた。悪寒は治った。早速体温を測ると39度後半の熱がある。体温が40度近くまで上がると、タンパク質が変性して失明することがあるという話を思い出し、1人怯えた。


とりあえず、近くのかかりつけ医に駆け込んだ。この時、熱があってだるいのも辛かったが、咽頭にただれたかのような発赤がなによりも辛かった。喋るのも、唾を飲み込むのも、泣きそうになるくらい、痛い。インフルエンザの簡易検査をしてもらったが、陰性。とりあえず麻黄湯カロナールを処方してもらうが一向に効かない。


セカンドオピニオン(今思えば、たかが風邪症状なのに大げさだな)で、違う内科を受診。アデノウイルスなどの簡易検査をしてもらう。どれも陰性。


うーん。家に帰って、感染症の講義資料をペラペラとめくるが、「熱」「だるい」という症状だけではなんの疾患かわからない。とりあえず、寝た。


次の日。ベッドから下りようと足に体重をかけた瞬間、大量の画鋲の上を踏んだかのような、鋭い痛みが足の裏を支配した。立ってられなくて、すぐさまベッドに逆戻りした。足の裏を見ると、真っ赤な皮疹がバラバラと出ている。手にも同じような皮疹があった。

この時、ふと一つの選択肢が思い浮かんだ。


手足口病


まさか、まさかだ。ちっちゃい子の病気、だよね?でも、症状的には明らかに手足口病だ。異常なまでの喉の腫れも説明がつくし、まさに手足口病というのにふさわしい苦しみ方をした。


ちなみに、お尻にも同じような皮疹ができて、しばらく椅子に座るのがすごく苦痛だった。座っててもすぐにもじもじして、じっとしていられない幼稚園児みたいだった。


最近は手足口病でも、お尻にも出来るタイプがあるらしい(専門家ではないのであまり詳しく述べるのはやめるが)。


20代で手足口病に罹患した稀な症例として、ここに報告します。

日頃からしっかり食べて寝て、皆さんかからないようにね。